謎解きソルフェージュ

真っ正面から、赤の他人のために、悩み、傷つき、もがきながら。打ちのめされ、それでも立ち上がろうとしている。ウサギのような真っ赤な目をして、オムライスを頬ばっていた川瀬鞠子。

自分とは対極だ。
自分は、四月朔日兄妹のために、傷つく心など持っていない。
所詮は他人の人生だ。

犯罪者、人殺し、というマイノリティに転落した四月朔日 和也。
その孤独を飲み込んで、誰にも言えない秘密を抱えて、生きてゆく道を彼が選ぶなら、それを止める気がないだけだ。

俺は、どこかで彼に、共感———いや、共謀していた。


だけど、川瀬鞠子。

だから、川瀬鞠子。

この世界の残酷さに触れてなお、向き合おうとしているきみに———


きみに、また会いたい———






【了】