「はぁ~」 翔のペースに付き合ってたら疲れが溜まる。 「あれ?豊は?」 いたはずの場所に豊の姿は見えない。 「たぶん教室」 「ふーん」 自分だけ静かな場所で寝てるって訳か。 あのヤロウ。 「カナちんの髪酷いね」 「あぁ」 入学式の前日に染めた髪の毛は生え際がもう真っ黒になっていた。 染めるのがめんどくさくてほったらかし。 「そのまま黒にするの?」 「そのうち金にするけど」 「そっか~」 翔は残念そうな顔をする。 「あたしがこの髪の色にしてたら何か文句あんのかよ?」