ピーンポーン。

「はぁい」

マヌケな声で出てきたのは、ラフな格好の柳田 舞子。

見ているだけで眩しくなるような金髪に、グリーン系のカラコン。

いかにも馬鹿だ。

あたしはオドオドした風に見せつつ、声を掛けた。

「あたし......1組の、葉月っていいます」
「はぁ...」


こいつは確か、アイドルグループ、『Charlotte』が好きだったな。


「えっと、Charlotteのコンサートチケットがあるんです。貰ってくれませんか?」

あたしは上目遣いで、そう聞いた。

その言葉に、柳田はパァと顔を明るくさせる。

「えっマジ!?いいの!」

「ええ......、ここだと気付かれますから、

裏山に、移動しましょうか?」

こんな知らない奴が人気のない所へ行こうなんて行ったって、普通は行かないだろう。


けれど、こいつは馬鹿だ。

あんな可愛い海華をいじめる、馬鹿だ。