あたしもようやく会話の内容が理解できて、思わずポンと手を打って納得する。


 おお、なるほど、そういうことか!


 名門一族たちは、山よりも高っけぇープライドゆえに、自分たちと同ランクの一族としか婚姻関係を結びたくないんだ。


 ずっと昔から同じ一族ばかりと結婚していれば、どうしたって血は濃くなってしまう。


 それが、近親婚と同じような状態だってことなのか!


「あれ? でも、信子ババは権田原一族だったよね?」


 常世島での戦いで亡くなった信子ババも、非・能力者だった。


 権田原一族は上位一族じゃないのに、なんで?


「いくらなんでも、上位一族の者たち全員ひとり残らず、似たような上位の家と結婚するわけではないわい」


「そうなの?」


「そこはやはり男女の仲じゃ。身分の釣り合わぬ恋仲相手と添い遂げる、根性の据わった者もおるのじゃよ」


「はあ、ロマンだねー。ラブ・イズ・オール。愛が全てだ」


「信子の親の片方が、上位一族の出身であったのじゃろう。おそらく因子が濃かったのじゃよ」


 そっか。信子ババ自身、すっごく優秀な術者だったしね。


 きっと上位一族の濃い血が、その体内に流れていたんだろう。


 そして、そんな血の濃い者同士の婚姻は、生まれる子が障害を持つ可能性がどうしても高くなる。


 じゃあ、非・能力者が生まれる原因はやっぱり……。


「そ、そんな……」「まさか……」


 ザワザワザワッと、強風に煽られる樹々の枝のように、大広間のざわめき声が大きくなった。


 上位の当主も、下位の当主も、みんなそろって顔色変えて動揺しまくっている。


 特に上位の当主たちなんて、いまにも失神しそうにオロオロしてる。


「だからこそ私は先ほど、『良き兆候』と申し上げたのです。我らが筆頭たる門川一族に、新たな血が混じることを」