「何か作ろうか。着替えてくるね」
わたしはビールの缶をテーブルに置くと、リビングを後にした。
その晩、お酒が手伝ってくれたこともあって、わたしと志朗さんは、久しぶりに体を重ねた。
それなのに、志朗さんからの愛撫を受けるわたしは、わたしの身体は、高揚するどころか罪悪感を覚えてしまった。
なぜだか霧島くんの顔がチラついて、志朗さんの求めに戸惑うことしか出来なかったから…。
本当にどうかしてる、わたし。
◇◇◇
「うわ、すごい人」
あれから1カ月程過ぎて2月になり、バレンタイン間近の今日、仕事を早めに切り上げたわたしはデパートのバレンタインコーナーに来ていた。
名古屋の有名デパートの中のひとつであるこのデパートには、毎年100以上ものブランドが出店していて、そこに群がる人の波は酔いそうな程だった。
わたしはその中のひとつのお店の列に並びながら、チョコレートがいくつ必要か指を折って数えていた時、
「…梨花子⁈」
ふいに、わたしを呼ぶ声が耳に入ってきた。
「やっぱり梨花子だー!やだー久しぶり〜!」
振り返ると、わたしの後ろに並んでいたのは亜子だった。
「ホント久しぶり〜。冬休みに会えなかったから超嬉しい!」
「学校の先生が”超”とか使う(笑)?」
「使う使う!ね、亜子は彼氏にチョコ買いにきたの?」
わたしは亜子の突っ込みをさらりと交わして、話題を変えた。
「うん、まぁね。後は会社の男性陣にも。毎年恒例行事的な感じで、チョコあげないといけないみたいな空気が、ね」
亜子は、面倒臭いなぁ〜って言いながらあくびをした。
「あはは。わたしも一応たくさん買って配るつもりだよ。でもここじゃなくて、もっと安いお店のチョコね(笑)」
「私も(笑)。高いチョコは彼氏と自分用」
ブランドチョコなんか高くて、たくさん買えるものじゃない、それはきっと亜子も同じ。
それでも、年に一度のバレンタインコーナーはたくさんの人で溢れていて、その手に握られた紙袋からはたくさんのチョコレートが覗いていた。
わたしはビールの缶をテーブルに置くと、リビングを後にした。
その晩、お酒が手伝ってくれたこともあって、わたしと志朗さんは、久しぶりに体を重ねた。
それなのに、志朗さんからの愛撫を受けるわたしは、わたしの身体は、高揚するどころか罪悪感を覚えてしまった。
なぜだか霧島くんの顔がチラついて、志朗さんの求めに戸惑うことしか出来なかったから…。
本当にどうかしてる、わたし。
◇◇◇
「うわ、すごい人」
あれから1カ月程過ぎて2月になり、バレンタイン間近の今日、仕事を早めに切り上げたわたしはデパートのバレンタインコーナーに来ていた。
名古屋の有名デパートの中のひとつであるこのデパートには、毎年100以上ものブランドが出店していて、そこに群がる人の波は酔いそうな程だった。
わたしはその中のひとつのお店の列に並びながら、チョコレートがいくつ必要か指を折って数えていた時、
「…梨花子⁈」
ふいに、わたしを呼ぶ声が耳に入ってきた。
「やっぱり梨花子だー!やだー久しぶり〜!」
振り返ると、わたしの後ろに並んでいたのは亜子だった。
「ホント久しぶり〜。冬休みに会えなかったから超嬉しい!」
「学校の先生が”超”とか使う(笑)?」
「使う使う!ね、亜子は彼氏にチョコ買いにきたの?」
わたしは亜子の突っ込みをさらりと交わして、話題を変えた。
「うん、まぁね。後は会社の男性陣にも。毎年恒例行事的な感じで、チョコあげないといけないみたいな空気が、ね」
亜子は、面倒臭いなぁ〜って言いながらあくびをした。
「あはは。わたしも一応たくさん買って配るつもりだよ。でもここじゃなくて、もっと安いお店のチョコね(笑)」
「私も(笑)。高いチョコは彼氏と自分用」
ブランドチョコなんか高くて、たくさん買えるものじゃない、それはきっと亜子も同じ。
それでも、年に一度のバレンタインコーナーはたくさんの人で溢れていて、その手に握られた紙袋からはたくさんのチョコレートが覗いていた。



