「俺は幸せ者だな。記憶を失わせてもこうしてまた愛してもらえるのだからな」 「どういう事?」 「お前の見たその男の正体は俺だ」 奏を愛してる? 私はずっと前から奏が好きで愛してる? 「お前が幼子の頃、俺と約束を交わしただろ」 「約束?」 ゆっくりと立ち上がった奏は頷きながらまた何処かへ行こうとする。 「奏、その約束って、」 「思い出せば分かる」