「もう、そろそろ外来の時間かな……」

本当は、このままずっと朱鳥と幸せな時間を過ごしていたい。

このまま時が止まってくれればいいのに……

そう、思ったがここは心を鬼にしないといけない。

朱鳥は、絶対に俺が守る。

その約束を果たすためにも、例え朱鳥の辛い顔を見るとしても、検査の結果は伝えないといけない。

「朱鳥…、じゃあ、そこの椅子に座ってくれる?」

「…………やっぱり、今じゃないと…ダメ……?」

「…うん。今じゃないと俺も言えなくなっちゃいそうで怖いんだ………。ごめんね……」

「そっか……、ごめんね、ワガママ言って……。」

やっぱり、朱鳥の辛そうな顔を見るのは胸が痛くて辛い……

それでも、これは朱鳥の為。

朱鳥の為。

朱鳥の…ため。

……やっぱり無理だよ…………

朱鳥の辛い顔なんて見たくない…!!

でも、でも……

「……朱鳥、もう1回だけギュッってしてもいい?」

「えっ?いいの?」

「うん、ギュッってしよ?」

「……うん。」

朱鳥を抱きしめて、朱鳥の温かさを感じる。

朱鳥……朱鳥…朱鳥!!

朱鳥を守りたい

守りたいからこそ、しなければいけないこと。

「ありがと、落ち着けた。じゃあ、今から話すね…」

「うん…」

きちんと椅子に座って、朱鳥の方を向き直す。

そして、俺はゆっくりと口を開いた。