エレベーターが1階に着き、私はまた走り出した。

たしかAEDはこっちに……

あった!!

箱の様なものに入っているAEDを取り出して、私はまたエレベーターに乗り込んだ。

最上階のボタンを押す。

楓摩……

エレベーターの中のたった何分かが私には何時間にも感じられた。

早く…早く行かなきゃ

エレベーターが着いた途端、また私は走り出す。

「楓摩っ!!」

ドアを開けて、楓摩の所へ走る。

陽向先生はまだ心臓マッサージを続けていた。

「朱鳥ちゃん、ありがとう!!それ、開けてもらえるかな」

「わかった」

AEDの機械の蓋を開けると、たくさんのボタンなどが並んでいた。

どうすればいいのかわからず、私が戸惑っていると急に音声が流れた。

音声に従って、私は機械を操作する。

「朱鳥ちゃん、それ、ちょっとここ、持ってきて」

言われた通り、AEDを楓摩のベッドサイドのテーブルに置く。

陽向先生は何やらパッドの様なものを楓摩に貼っていく。

私はそれをただ祈りながら見守っていた。

『チャージが完了しました』

「朱鳥ちゃん、離れてっ」

そう言った瞬間

ドンッ

と音がして、楓摩の体がビクッと跳ねた。

私と陽向先生は心電図を見守る。

――――――ピッピッピッピッ…

「…よかった…………」

そう言って陽向先生はペタリと床に座り込んだ。

私は楓摩の手を握る。

…温かい

「楓摩………よ…かった………………」

ドサッ

私は床に倒れた。

そこで私は意識を失った。