ピンポーン

病院での勤務が終わった夜、俺は楓摩の家に来ていた。

朱鳥ちゃんと約束した通り、夜の回診として。

だけど、朱鳥ちゃんは居るはずなのにインターホンを鳴らしても朱鳥ちゃんは出てこない。

ピンポーン

もう1度鳴らしてみる。

……だけど、返事はない。

変だな…

少し不安になってドアのノックしてみる。

反応はない。

少しだけドアノブを引いてみると、鍵が閉まっていなかったのか、すんなりと開いた。

「朱鳥ちゃん、居るー?入るよー」

もしかしたら、寝てるだけかもしれない。

…だったら、いいんだけど……

楓摩の家のリビングのドアを開けると、そこには昨日と変わらず、楓摩が寝ていた。

だけど、朱鳥ちゃんの姿はない。

「朱鳥ちゃん?朱鳥ちゃん、どこ?いる?」

寝室や、洗面所にはいないな…

残るは、台所と2階だけど……

台所の方へ向かうと、足が見えた。

俺は驚いて小走りで駆け寄る。

そこには、荒い息をして倒れている朱鳥ちゃんがいた。

手に持っているのは、保冷剤だ。

自分で冷やそうとしたのか…

俺は急いで朱鳥ちゃんを抱き上げて、近くにあったソファに朱鳥ちゃんを寝かせた。

そして、持ってきていた体温計で朱鳥ちゃんの熱を計りながら、聴診もする。

少しだけ呼吸が浅いな…

そう考えていると、体温計が鳴った。

ピピピピピッ♪

ピピピピピッ♪

体温計の表示は……

41.3

熱が高すぎる……

俺は、持ってきていた解熱剤の注射を用意して、朱鳥ちゃんに打つことにした。

「朱鳥ちゃん、ちょっとごめんね。少しチクッとするよ」

そう言って解熱剤を打つ。

少しすると、かなり楽になったのか、朱鳥ちゃんの呼吸も安定した。

……でも、今日は心配だな…

明日は仕事休みだし、今日はここに居るかな……

楓摩なら、きっと許してくれるよね。