暑い……

うっすらと目を開けると、楓摩が見えた。

「お、朱鳥、起きた。おはよ。体、大丈夫?」

私は喋るのが辛かったのでコクンと頷いた。

「顔赤いね。熱計ろっか」

そう言って、楓摩は力が入らない私にさらっと体温計を挟んだ。

ピピピピピッ♪

ピピピピピッ♪

「あー、また上がったね。朱鳥が寝た後に計ったときは37.8だったんだけどな…。今は、38.9もあるな。冷えピタいる?」

コクン

とにかく体が暑かったのでお願いする事にした。

「わかった。じゃあ、取ってくるね。」

そう言って楓摩は病室を出ていってしまった。

ふと、時計を見ると夜中の1時だった。

楓摩は、普通みたいに接してくれたけど、本当は楓摩も休んでいい時間だよね。

迷惑になってないかな……

そんなことを考えてみたけど、ダメだ…思考が回らない。

熱で頭がはっきりとしないのか、思考が先に進まない。

私にわかるのは楓摩に迷惑をかけてるってだけ。

だから、何をする…とかは考えられない。

しばらく、ボーッとしていると楓摩が戻ってきた。

「朱鳥、冷えピタ持ってきたよ。これで、熱、下がるといいな。」

そう言って、楓摩は、私に冷えピタを貼って、一緒に持ってきた保冷剤も首周りに付けてくれる。

私は、何を思ったのか、無意識に

「…迷惑……かけて…………ご…めんなさい……」

と楓摩に向かって言っていた。

楓摩は、少し驚いた顔をしてから、スグにニコッと笑って、また私の手を握ってくれた。

「迷惑なんかじゃないよ。俺が朱鳥の傍に居たいだけだから。だから大丈夫だよ。そんなに、悲しそうな顔しないで?」

コクン

私は、そう頷いた。

なんだか、心も体もボーッとして夢の中のようにフワフワとしていた。