家に帰って、制服を着替えてから、今日は寝室のベッドに寝っ転がる。

「ふぅ……」

学校に居る時は感じなかった疲れが、家に帰った途端にドッと出てくる。

携帯を出して、楓摩に帰ってきた事を連絡してから、私は布団に入り目をつぶった。

でも、なぜか今日は上手く寝付けず、しばらく布団のなかでゴロゴロとしていた。

やっとウトウトし始めたと思った時、携帯が鳴った。

楓摩からの返信かな、と思い軽い気持ちで画面を開いた。

すると、そこには楓摩からのメッセージではなく、私が登録していないアドレスからのメッセージがあった。

恐る恐るそれを開くと、思いもよらない事が起きていた。

そこには、2枚の写真があった。

1枚は昨日、楓摩に送ってもらった時の私と楓摩の写真。

もう1枚は、今日、碧流くんと帰りに手を振ってあいさつした時の写真。

そして、

"男たらし"

"キモイ"

"ウザ"

"死ね"

の文字。

あぁ、またこれか。

私は、見ているうちに、なんだか嫌になってきて、途中で携帯をしまった。

今の事を忘れるように、ギュッと目を瞑ってうずくまる。

でも、それは忘れるどころか、より鮮明になって頭に浮かんできた。

体が小さく震えているのがわかる。

忘れよう。

忘れよう。

そう強く思う度に、鮮明になってくる文字。

いつの間にか過呼吸になっていて、呼吸が苦しい。

「ヒック……ハァッ…ハァッ…」

いつもなら、なんとか自分で落ち着けるのに、今日はできない。

なんとかしなきゃ、そう思い必死の願いで楓摩に電話をかける。

プルルルルル♪プルルルルル♪

"はい。清水です。"

「ハァッ…ハァッ……ふ…………ま…」

"朱鳥!?大丈夫?どうしたの?"

「ヒック……ハァッ…い……き…が…………ハァッ…ハァッ……で…きない…ハァッ」

"過呼吸?落ち着いて。大丈夫だから。ゆっくり深呼吸だよ。今日、陽向休みだから、今そっちに向かわせるね。大丈夫だからね。"

私は、楓摩に言われた通り、ゆっくり深呼吸する事に必死になった。

でも、しようと思うほど焦ってしまって上手くできない。

酸欠で頭が痛くなってきた…

その時、玄関の扉がノックされる音が聞こえた。