ピッピッピッピッ……

朱鳥は、まだ目を覚まさない。

はぁ…………

何回目だろう、朱鳥が目を覚まさなくなって凄く落ち込むの……

朱鳥が意識を失った次の日から、治療は行った。

朱鳥は、眠ったまんまだから、副作用に悩まされる事もなくて、朱鳥にとっては、いいこと…なのかな?

そのまま治療の一週間も終わり、今日、骨髄検査もした。

「朱鳥ー、おーきーてー……。俺、朱鳥が居ないと無理だよ……。ごめんね…俺、こんなに馬鹿で…………。俺が馬鹿なせいで俺、何回朱鳥の事傷つけたんだろ………ごめんね。本当にごめんね。」

そう言って、毎日話しかけて、ボーッと朱鳥の顔を眺める。

最近は、仕事を終わらせて、朱鳥の病室に来る以外、何もする気が起きない。

家に帰るのはいつも、夜中の1時か2時。

それまで、病院で何かしてる訳ではなく、ただ、朱鳥の傍に居たら気付いたらその時間になっている。

家に帰ってからも、インスタントのご飯を少し食べて、風呂に入って、寝る事しかしていない。

テレビも全く見なくなった。

なんか、生きている楽しみが全部無くなってしまったような感じ。

陽向にも、心配された。

前にもっと、朱鳥が眠っていた時があったけど、その時よりも寂しい。

朱鳥と過ごす日々が増えていくほど、1日の寂しさも増していく。

朱鳥との、なにげない毎日が俺の幸せなのに、それを全て奪われたみたい。

でも、全部俺が悪いんだ。

俺のせいで、朱鳥に辛い思いをさせてるだけじゃなく、陽向や看護師さん達にも迷惑ばっかりかけている。

だから、きっと、神様は俺に罰を与えているんだろう。

気付くと、スマホのカメラフォルダの写真を開いていた。

前、水族館に行った時の朱鳥の楽しそうな笑顔の写真。

フォルダの中は、この、3、4ヶ月、ほとんど朱鳥の写真ばかり。

隠し撮りした、朱鳥の寝顔。

デートした時に記念に撮った写真。

一緒に撮ったプリクラ。

朱鳥のはち切れそうな笑顔。

この、一週間見れていない朱鳥の笑顔。

それを見た瞬間、涙がこぼれた。

「…………寂しいよ……朱鳥…」

この一週間は泣いてばかりだ。

毎日1回は泣いてる気がする。

泣きたくて泣いてるんじゃなくて、勝手に涙が出てくる。

この年になって、泣くなんてカッコ悪いから嫌なのに、涙が溢れて止まらない。

ただ、無言で朱鳥の傍で涙を流している。

コンコンッ

ガラッ

「楓摩ーちょっといいかー?」

「……陽向………………」

「お前、本当に大丈夫か……また、泣いてんのかよ…………」

「…ごめん………心配かけちゃって……」

一生懸命、涙を拭くが、止まってくれるどころか、余計に涙が溢れてくるばかり。

「…もう、いい。泣いたままでいいから。」

そう言って陽向は、俺の背中を摩ってくれた。

それから、しばらく、泣きながらだけど、今度、大きい手術があるから、そのミーティングをした。

「うん、おっけー。ありがと。」

「ん……」

「…………楓摩、元気だせ。俺、お前が元気じゃないと、なんか調子狂うんだよ。」

「ごめん……」

「謝んな。大丈夫だから。だから…………そんなに、自分を責めんな。お前らしくねぇよ。朱鳥ちゃん、きっともうすぐ目、覚ますから。朱鳥ちゃんが起きた時にお前が泣いてたら、また、心配かけるぞ?だから、泣くな。」

「うん、ありがとう。」