「朱鳥、ご飯食べよ?冷めちゃうよ。」

「うん」

楓摩は、私がまだ少し怯えているのを気遣って、違う話を持ちかけてくれた。

「今日のお昼は、お粥みたいだね。朱鳥、胃潰瘍が治ったばっかりだから、きっと胃に負担をかけないためだね。」

「お粥……」

「嫌いなの?」

昔、無理矢理食べさせられた記憶があるけど、その時は、全然美味しくなくて、泣きながら食べた気がする。

「嫌いでも、ちょっとは食べてみて?もしかしたら、美味しいと思えるかもよ?」

「うん、食べてみる。」

スプーンで、少しだけすくって、口に入れる。

あれ?食べれる。

もう一口食べてみる。

「……食べれる…美味しい!!」

「おっ、よかった。じゃあ、俺もここで飯食お。」

楓摩は、おにぎりを食べている。

モグモグ食べていたら、あっという間に無くなってしまった。

楓摩も、すっかり食べ終わっていて、カルテなどを見ている。

「朱鳥、食べ終わった?」

「うん」

「じゃあ、話すかな。……朱鳥、今日から入院するって事はわかってるしょ?」

「え、うん。」

「それで、治療なんだけど、明日から始めるよ。」

「え……」

入院したのは、治療の為だって事はわかっている。

けど、いきなりすぎて、言葉が出ない。

「明日から、今度はここの病室で、抗がん剤治療を始めるからね。」

「……わかった。」

「また、一週間頑張って、そしたら休憩。でも、今度は一時帰宅できないかな。」

「そっか、頑張るね……」

楓摩は、少し悲しそうな顔をして頭を撫でてくれた。

それから、楓摩は、また仕事があるから。と言って病室を出ていった。