怖い夢をみた。

最近よく見てしまう夢。

昔いた家に連れて行かれて、『なに、入院なんかしてんだ!どんだけの金がかかってると思ってんだ!!』と、怒鳴られ、暴力を振るわれる。

嫌だ、嫌だ……

と言っても、誰も聞いてくれない。

楓摩に助けを求めるけど、声は届かない。

そんな夢。

でも、今日は違った。

途中で、楓摩が守ってくれた。

助けて!!

と叫んでいると、どこからか、楓摩がやって来て、助けてくれた。

そんな、夢だった。

目を覚ますと、いつもの病室だった。

今日、退院できるんだっけ……?

また、楓摩と暮らせるんだ、嬉しいなぁ…

なんか、不思議な感じだけど、楓摩の家が私の家でもあるんだもんね。

”私達の家”に帰れるんだ!

そう思うと、自然と顔が綻んだ。

コンコンッ

ガラッ

「朱鳥ー、おはよ。起きたー?」

「あ、楓摩、おはよー!」

「お、すっかり元気だね。夢は大丈夫だった?」

「えっ?なんで知ってるの?」

楓摩が、私が夢をみていたことを知っているはずが……

「だって、うなされていたでしょ?俺が見に行った時、1回目、覚ましたんだけど、覚えてない?」

「うん……」

「ハハッ、そっか、寝ぼけてたんだね(笑)じゃ、退院する為に診察するよ。」

楓摩は、いつも聴診からするか、服、捲った方がいいかな?

「お、わかってるね、偉いじゃん。」

服を捲ると、楓摩は頭を撫でてくれた。

このくらい、普通だと思うけどな(笑)

その後、しばらく診察をされた。

「もう、服下ろして、いいよ。でも、今日は退院するから、その前に血液検査だけさせてね。腕出してくれる?」

嫌だな……

でも、これをしないと、退院できないんだよね……

退院できないのは、嫌だから仕方なく腕を出す。

「自分から腕出して、偉いね。」

「だって……退院できないのは、嫌だもん…………」

「そっか、でも偉いよ。」

そう言いながらも、楓摩は、淡々と準備を進めている。

「じゃあ、少し、痛むからね。」

ゆっくりと、針が刺される。

血液検査は、痛い時間が長いから嫌なんだよな……

30秒くらい、我慢していると、針が抜かれた。

「よし、いいよ。偉かったね。これで、安心して退院できるからね。本当は、骨髄検査も必要なんだけど、今回は、朱鳥がずっと眠っていた時に終わらせてあるから。」

「うん、ありがと、楓摩。早く家に帰りたいな~」

「そうだね、俺もできるだけ早く、仕事終わらせるから、待っててね。」

「うん、待ってるね!」

楓摩は、私の頭を撫でると、他の患者さんの所に行ってしまった。

早く、家に帰って、楓摩の作ったご飯、食べたいな……