「ねぇ、ひかりちゃん。」
「な、なに?」
「ひかりちゃんは今、サンタさんに何をお願いする?」
「…ん…うーん…そうだなぁ。しいて言うなら…どうかあなたも幸せになって、かな。」
「え?」
「もう私は充分だもん。サンタさんって嬉しい気持ちをくれるでしょ?でも嬉しい気持ちはレオくんがくれる。…今もそうだけど、昔もそうだったなぁって。レオくんが歌ってくれるのが私、すごく嬉しかったんだなーって今更ながら思ったりもしててね。」
「…じゃあ僕がひかりちゃんのサンタさんってこと?」
「そう、だね。そういうことになるね。」
「なら、僕にとってはひかりちゃんがサンタさんってことか。うん。これで一曲書けそう。」
「え?」
「『サンタクロースは君だった』」
「え…?」
「タイトルから出来上がるタイプの曲だ。よーし!来年あたり、歌うのを始めようかな、この曲で。」
「え!?歌うの!?活動再開!?」
「…も、ちょっと最近考えてる。ってつまり、どういうことかわかってるかなひかりちゃん。」

 冬木レオンの活動再開。それはひかりにとっても喜ばしいニュースだ。

「あー…完全に忘れてるでしょ、その顔。僕のあのインタビューを忘れるなんてひどい!」
「忘れてなんか…。」
「僕が活動を再開するとしたら、それはどんな時だって言ってた?」
「あ…。」

 思い出す、あの映像と声を。確かにレオは言っていた。

「僕と結婚してください。幸せな今を、ずっと続けていきたいです。」

 どこからともなく取り出した小箱から出てきた、シンプルなリング。

「僕からのクリスマスプレゼント、受け取ってくれるよね?」
「…うん!もちろん!私もずっと、レオくんの傍にいたい!」

 素直に想いを口にすることは苦手だった。でも、受け止めてくれる人がいるから頑張れる。そんな気持ちをくれたのもレオだった。誰かを愛しいと思う気持ちも、労わる気持ちも、傍にいたいと言いたくなるくらいの強い気持ちも、全てがレオに繋がっていく。
 指輪がそっとはめられる。照明の光を浴びてきらりと光った。

「たくさん曲を書こうって思ってるんだ。…だから、たくさんの気持ちを僕に頂戴?」
「…う、ど、どうすれば…。」
「まずはひかりちゃんからのキス、がいいな。」

*fin