しかしこのナイルターシャという女性は?
いったい何者なのか。
神殿の最深部に造られたこのような家に住まい、大司祭から崇敬を受けているようだった。
皇帝すらその存在を知らない女性。
(これだから神殿は信用できないんだ)
「うまいか?」
「は?」
物思いに沈んでいたカイルは一瞬何を言われたのか分からなかった。
「うまいか、と聞いたのだ」
正直味わっていなかった。
返事を渋るカイルに、ナイルターシャはその綺麗な顔をしかめて見せてから、
「こんなに美味なものを食べているというのに、上の空で味わわぬと言うのは、人生の半分は損しているぞ」
口調はぞんざいだが、怒っているわけではなさそうだった。
口元に笑みがある。
「申し訳ございません」
カイルはとりあえず謝っておいてから、今度はゆっくりその味を噛み締めながら皿を空にしたのだった。
「さて、ナイルターシャさま」
食事が終わってお茶を頂いている時に、ようやく大司祭は本題に取り掛かることにしたらしい。
セクン大司祭が鷹揚な性格なのか、ナイルターシャのペースに合わせるというのが彼女に対する時の処世術として確立しているのか、いずれにせよ、よく待ったものだとカイルは胸の奥でそう思っていた。
「こうして本来この場所にいるはずのない者をお呼びになった意図をお聞かせいただけませんか?」
そう言ってセクン大司祭はカイルをちらっと横目で見た。
やはり大司祭は、この若い元帥のことを快くは思っていないらしい。
ナイルターシャは「そうね」と、今までとは違う静かな声音で言って席を立ち、隣の部屋へと入って行った。
足首に届くほどの長く艶やかな髪が、室内灯の光を受けて輝いていた。
いったい何者なのか。
神殿の最深部に造られたこのような家に住まい、大司祭から崇敬を受けているようだった。
皇帝すらその存在を知らない女性。
(これだから神殿は信用できないんだ)
「うまいか?」
「は?」
物思いに沈んでいたカイルは一瞬何を言われたのか分からなかった。
「うまいか、と聞いたのだ」
正直味わっていなかった。
返事を渋るカイルに、ナイルターシャはその綺麗な顔をしかめて見せてから、
「こんなに美味なものを食べているというのに、上の空で味わわぬと言うのは、人生の半分は損しているぞ」
口調はぞんざいだが、怒っているわけではなさそうだった。
口元に笑みがある。
「申し訳ございません」
カイルはとりあえず謝っておいてから、今度はゆっくりその味を噛み締めながら皿を空にしたのだった。
「さて、ナイルターシャさま」
食事が終わってお茶を頂いている時に、ようやく大司祭は本題に取り掛かることにしたらしい。
セクン大司祭が鷹揚な性格なのか、ナイルターシャのペースに合わせるというのが彼女に対する時の処世術として確立しているのか、いずれにせよ、よく待ったものだとカイルは胸の奥でそう思っていた。
「こうして本来この場所にいるはずのない者をお呼びになった意図をお聞かせいただけませんか?」
そう言ってセクン大司祭はカイルをちらっと横目で見た。
やはり大司祭は、この若い元帥のことを快くは思っていないらしい。
ナイルターシャは「そうね」と、今までとは違う静かな声音で言って席を立ち、隣の部屋へと入って行った。
足首に届くほどの長く艶やかな髪が、室内灯の光を受けて輝いていた。


