久遠の絆

「そうとしか考えられねえな」


「……」


新たな巫女姫が生まれることを厭うて、ヘラルドが手を下したのなら。


十分ありえることだった。


「酷い……」


ヘラルドの非情さを、これ程憎んだことはなかった。


手を挙げられた時でさえ、これ程に憎いとは思わなかった。


「あなたは本当に、人の命を何だと思っているの?」


蘭が呟いた時だった。


「おや。死に損ないが、偉そうな口をきくねえ」


聞き覚えのある声にびくりとした。


閑散とした村に響いた艶のある声。


「シェイルナータさま……」


「何?!」


皆が蘭を守るように囲んだ。


どこにいるのか。


彼女の姿は見えない。


「いつ来るのかと、いい加減痺れが切れてたさ。イーファン、久しいね」


「シェイルナータさま。あなたはいつまでヘラルドを!」


「永遠に。死しても、私はあの人のものだ」


「愚かな」


「そう言うあんたも、いつまでもセイアに囚われて死ねないんじゃないか。それこそ愚かしいことだよ」


「あなたがセイアの名を呼ぶな!」


イーファンの怒声などついぞ聞いたことがないが、この時の彼は確かに怒っていた。


「ふ……変わらないねえ。あんたも」


崩れた屋根の上の空間が、稲光が走ったようにビシッと裂けた。


その裂け目から、人影が現れた。


艶然と微笑みながら、宙に浮かぶシェイルナータ。


それから。


横たわる老女。


ナイルターシャだった。