薄暗く長い廊下の突き当りには、別棟へと渡るための渡り廊下があった。
その渡り廊下の存在を知ってはいたものの、許可を得た者しかその先へは行けない為、カイルがそこに足を掛けるのはこの日が初めてだった。
大司祭は不満そうな顔でひと言、「深い慈悲に感謝せよ」とまた同じようなことを言って別棟に向かって歩き始めた。
カイルは感謝する気持ちなど起こるはずもなく、ただ黙々と風の吹きすさぶ石造りの渡り廊下を進んで行った。
別棟はこじんまりとした平屋の質素な家だった。
神殿の煌びやかさとは対照的な建物で、とても違和感を誘うものだった。
その前には狭い庭のようなものがあり、たくさんの草木が植えられていて、さながら林のようになっている。
そしてその向こうに見える平屋の家は、素焼きレンガで造られ、屋根の上に出ている煙突からは白い煙が一条上っていた。
渡り廊下を渡り終え、その林の中へ入っていくと、井戸やベンチなども見ることができた。
誰かの田舎の家を訪れたような、そんな感じだった。
「ここにどなたかがお住まいなのですか?」
カイルは思わず聞いていた。
帝国元帥であるのに、神殿の奥にこのような場所があることなどまったく知らなかったのだ。
「直に分かる」
大司祭は多くを語りたがらなかった。
カイルもそれ以上話し掛けることはなく、緑の美しい林の中を進んでいき、そしてとうとう建物の前に出た。
間近で見ると、ますます質素という言葉がふさわしい家だった。
飾り気ひとつない、けれど住みやすいようにきちんと整えられている。
生活の匂いのする家だった。
2人が扉の前に立ち、大司祭がいよいよノックするという時、扉が内から勢いよく開けられた。
ぶつかりそうになり慌てて飛びのいた大司祭の大きな体の向こうに、小柄な人がちらりと見えた。
「おや、早かったねえ」
鈴を転がすような可愛らしい声で、その人は感心したように言って微笑んだ。
「ナイルターシャさま」
大司祭が小さく呟くのを聞いた。
その渡り廊下の存在を知ってはいたものの、許可を得た者しかその先へは行けない為、カイルがそこに足を掛けるのはこの日が初めてだった。
大司祭は不満そうな顔でひと言、「深い慈悲に感謝せよ」とまた同じようなことを言って別棟に向かって歩き始めた。
カイルは感謝する気持ちなど起こるはずもなく、ただ黙々と風の吹きすさぶ石造りの渡り廊下を進んで行った。
別棟はこじんまりとした平屋の質素な家だった。
神殿の煌びやかさとは対照的な建物で、とても違和感を誘うものだった。
その前には狭い庭のようなものがあり、たくさんの草木が植えられていて、さながら林のようになっている。
そしてその向こうに見える平屋の家は、素焼きレンガで造られ、屋根の上に出ている煙突からは白い煙が一条上っていた。
渡り廊下を渡り終え、その林の中へ入っていくと、井戸やベンチなども見ることができた。
誰かの田舎の家を訪れたような、そんな感じだった。
「ここにどなたかがお住まいなのですか?」
カイルは思わず聞いていた。
帝国元帥であるのに、神殿の奥にこのような場所があることなどまったく知らなかったのだ。
「直に分かる」
大司祭は多くを語りたがらなかった。
カイルもそれ以上話し掛けることはなく、緑の美しい林の中を進んでいき、そしてとうとう建物の前に出た。
間近で見ると、ますます質素という言葉がふさわしい家だった。
飾り気ひとつない、けれど住みやすいようにきちんと整えられている。
生活の匂いのする家だった。
2人が扉の前に立ち、大司祭がいよいよノックするという時、扉が内から勢いよく開けられた。
ぶつかりそうになり慌てて飛びのいた大司祭の大きな体の向こうに、小柄な人がちらりと見えた。
「おや、早かったねえ」
鈴を転がすような可愛らしい声で、その人は感心したように言って微笑んだ。
「ナイルターシャさま」
大司祭が小さく呟くのを聞いた。


