瞬きをして、必死に動揺を抑えるカイル。
「すすす」のあとが気になって、眠れぬ夜を明かしたのは昨夜のことだ。
それを彼女は覚えていないという。
無かったことにしたいのだろうか。
「蘭さまは確かに、私の部屋においでになり」
「もう、いいよ!」
「蘭さま」
「わたしは知らないもの。カイル、誰か別の人と間違ってるんじゃないの?」
「そんなことは」
「とにかく、わたしは知らないから。頭が痛いの。もう休むから、おやすみっ」
蘭は言い捨てて、部屋に入ろうとノブに手を掛けた。
その手を、カイルが掴んだ。
掴んだまま、蘭を壁に押し付ける。
「何があった?」
押し殺した声に、彼の焦燥が垣間見えた。
息が掛かるくらい近付けられた顔。
秀麗な面立ちを切なげに歪め、カイルは蘭を見つめる。
けれど。
今の蘭には不快でしかない。
「離して。人を呼ぶよ」
冷たく突き放す言葉に、カイルは息を飲んだ。
「蘭……」
掴まれた手を振り解き、蘭が走り去る。
カイルは掴むものを無くした手をそのままに、その場に立ち尽くしていた。
「すすす」のあとが気になって、眠れぬ夜を明かしたのは昨夜のことだ。
それを彼女は覚えていないという。
無かったことにしたいのだろうか。
「蘭さまは確かに、私の部屋においでになり」
「もう、いいよ!」
「蘭さま」
「わたしは知らないもの。カイル、誰か別の人と間違ってるんじゃないの?」
「そんなことは」
「とにかく、わたしは知らないから。頭が痛いの。もう休むから、おやすみっ」
蘭は言い捨てて、部屋に入ろうとノブに手を掛けた。
その手を、カイルが掴んだ。
掴んだまま、蘭を壁に押し付ける。
「何があった?」
押し殺した声に、彼の焦燥が垣間見えた。
息が掛かるくらい近付けられた顔。
秀麗な面立ちを切なげに歪め、カイルは蘭を見つめる。
けれど。
今の蘭には不快でしかない。
「離して。人を呼ぶよ」
冷たく突き放す言葉に、カイルは息を飲んだ。
「蘭……」
掴まれた手を振り解き、蘭が走り去る。
カイルは掴むものを無くした手をそのままに、その場に立ち尽くしていた。


