久遠の絆

「巫女姫の村に行くときは、俺も付いて行くよ」


「マトも?」


「俺、蘭を守るって決めてるから。特別な力はないけどさ」


「……」


「来るなって言われても、行くよ」


「マト……」


「きっと大変なことがあるだろう。そんな時、俺が蘭を支えたい。力になりたいから」


「ありがと」


マトといると、自分が普通の女の子に戻れたような、そんな気分になる。


彼の真っ直ぐな瞳には、何か特別な力があるのだろうか。


「マヤは、どうするの?」


同い年ということで、話すうちに仲良くなったマヤだった。


「あいつも、来るなと言っても来る奴だからなあ。俺が行けば、一緒に行くだろうな。そんなにぞろぞろ付いて行ってもいいなら、の話しだけど」


「ふふ。わたしからイーファンさんに頼んでみるよ。やっぱり兄妹は、一緒にいた方がいいと思うし」


「ありがとう。蘭は優しいな」


「え、そんなことないよ」


「ううん。優しい。ほら、あの時も。ばばさまがシドに連れて行かれそうになった時も、自分の危険も省みずに飛び出しただろう?あの時も、優しくて、強い人なんだって思ったんだ」


「あれは。あの時は何も考えずに飛び出しただけで。優しいとか、強いとかの話しではないと」


「そんなことないって。蘭は素敵だよ。俺はそんな蘭が好きだ」


「えっ?!」


「な~に、口説いてんの。マト」


「うわっ。マヤ。どっから現れた?」


「人をお化けみたいに言わないでよ。さっきから、ずっとここに立ってるのに、気付かないで口説いてたのは兄さんでしょ」


「別に口説いてなんか」


「あ~ら。女の子にはてんで疎いマトが、蘭に関しては随分積極的なんだから。口説いてないなんて言い訳、通用しないんだからね」


兄妹喧嘩を始めたふたりは、当の蘭のことなど忘れているように見えた。


(何だかんだ言って、仲いいんだよね。このふたり)


ちょっぴり羨ましい蘭だった。