久遠の絆

やはり無理だった。


項垂れて部屋を出て行こうとする蘭を、イーファンは呼び止めた。


顎に手を当て、思案げにしている。


「何ですか?」


「蘭さん、あなた。もしかしてとは思いますが、好きな人がいる?」


「ええ?!」


何を言うのかと思えば。


蘭は顔から火が出そうになった。


顔が熱い。


「やはり」


「イーファンさん。読まないで下さいよ!」


蘭は自分で自分を抱き締めた。


そうやっても意味はない。


彼には、蘭のことなどお見通しなのだ。


「いいでしょ?好きな人いたって」


「普通の時なら、いっこうに構いません。が、あなたは瑠璃の巫女なのです」


「瑠璃の巫女は恋しちゃいけないの?!」


「相手によるのですよ。蘭さん」


イーファンは蘭にぐいっと顔を近付けた。


顔が引き攣る蘭。


早くこの部屋を出て行きたい。


けれど、その願いは叶えられそうになかった。


「あなたの心にいるのは……守護者の一人」


「やだっ」


「蘭さん」


「イーファンさん、やだ!」


「お許しを」


体をくの字に折りながら逃れようとする蘭を、イーファンは見逃そうとはせず、常になく容赦なかった。


「蘭さん。あなたを、セイアの二の舞にする訳にはいかないんです」


「セイア?何言って……」


「瑠璃の巫女と守護者は恋をしてはいけない」


「それは、セイアの場合でしょう?」


「いいえ。今度は失敗は許されないのです」


「そんな!」


イーファンは、蘭の額にぴたりと手の平を当てた。


「何するの?!」


蘭は金縛りにあったように、身動きが取れなくなった。


「申し訳ありませんが、蘭さん。あなたの恋、封じさせて頂きます」


抗うことなど出来なかった。