久遠の絆

「カイルの足、大丈夫なの?」


ずっと気になっていて、でも本人には聞きにくかったことだ。


「……」


するとニアスは、むっつりと黙り込んでしまった。


「ニアス?」


一点を見つめたままのニアスを、蘭は心配になってきた。


「ニアス、どうしたの?」


「蘭さまには、言ってもいいですか?」


「え?」


「カイルさま本人も、グレン中将も、知らないことです。僕一人が、胸に収めていることです」


「な、何?」


「誰にも言わないって、約束してくださいね」


「うん、分かったよ。誰にも言わない」


ニアスがどんなことを言うのか、蘭は身構えた。


「カイルさまの足、ずっと治らないって。カイルさまにはいずれ良くなるって、お医者も言ったけれど、本当はもう治らないんです」


「そんな……」


絶句する蘭に、ニアスは涙の滲む目を向けた。


「僕、本当は、カイルさまには巫女姫の村に行ってもらいたくないんです。あの方には、もっと休んでほしい。自分の体のことも、もっと考えてほしいんです。でも、そんなことカイルさまに言ったら怒られちゃうから。誰よりも責任感が強い方ですからね。だからきっと行かれるでしょう。ご自分のことなんて考えることなく」


「……イーファンさんに」


「はい?」


「イーファンさんに頼んでみるよ。カイルが巫女姫の村に行かなくて済むように」


「でも……。カイルさまがいなくては、事が進まないのだとしたら」


「もし、そうだったとしても。端から諦めなくてもいいでしょ。イーファンさんのとこに行ってくる」


「蘭さま。すいません」


立ち上がった蘭に、ニアスは頭を下げた。


「何で?わたしだって、カイルにはもっと自分を大切にして欲しいんだもの。ゆっくり療養してもらいたいのは、ニアスと同じだよ」


するとニアスはまた頭を下げた。


そんなニアスに笑って手を振ると、蘭は洞窟へと戻って行った。