久遠の絆

◇◇◇






「守護者も見出されたので、あまり日が経たない内に、巫女姫の村に参りましょう」


あの夜、カイルとシドにそれぞれの指輪を渡した後、イーファンは最後にそう言った。


「巫女姫の村に?」


「はい。村にある神殿に行かねばなりませんから」


神殿。


それは、セイアも過ごした場所だ。


(わたしも、とうとう、そこに行くんだ)


不安と期待と。


ベッドに入ってからもいろいろな考えが浮かび、蘭はその夜結局一睡も出来なかった。







「巫女姫の村、か……」


蘭は一人岩の上に座り、物思いに耽っていた。


皆、忙しい。


忙しくないのは自分くらいだった。


目の前に翳した瑠璃の石は、少し回復傾向。


自身を護るものを見つけたからか、あの後瑠璃色を取り戻しつつあるように見えた。


「頑張ろうね」


そう石に語り掛けると、それに応えて、石がチカチカと瞬いた。


「何だか、久しぶりだね」


こうして話すのも。


自分自身のことで精一杯で、石を省みる余裕もなかったけれど。


ここに来て、とても落ち着いている自分を感じる、蘭だった。


いよいよその時が近付いているのが分かって、腹が座ったと言うこともあるかも知れない。


「神殿て、どんなとこかなあ」


蘭は立てた膝の上に顎を乗せ、意味もなく転がる石を弄んでいると、じゃりっと石を踏む音が聞こえた。


振り向くと、ニアスが立っていた。


「ニアス?」


「蘭さま。こんな所に一人でいたら、危ないですよ。もし、ヘラルドの手下とかに見つかったら」


「ふふ。手下って、いるのかな」


「ん……それは、分かりませんが……」


あの後、少しニアスと話す機会があったのだが、彼もなかなか大変な思いをしたようだった。


よくぞ無事で、ここまで辿り着いたのだと思う。


お互いに、生きていることを喜び合った。


『生きている』


そのことが嬉しい。


今なら、そう思える。