久遠の絆

「蘭さま……」


突然泣き始めた蘭に、カイルは狼狽え、椅子から降りると蘭の前に跪いた。


そして落ち着かせる為に、彼女の手を両手で包み込んだ。


思いの外小さな手に、彼の胸もまた苦しくなる。




「行方不明だって聞いて、ずっと心配してて。それがさっき、いきなり現れるんだもん。びっくりしたよ~」


「申し訳ありません……」


「謝って欲しいんじゃないよ。嬉しいの。またカイルに会えて、嬉しいの」


「蘭さま……」


手を握っていて良かったと、カイルは思った。


両手が自由なままだったなら、感情の激するまま、彼女を抱き締めていたかも知れないと思う。


「蘭さま。こうして無事で会えたのです。もう泣かないで」


「だって、だって、カイル。止まんない……」


「もう、これからはずっと一緒です。私が蘭さまをお守りします。必ず」


「カイル」


「それが、私の役目ですからね」


「役目?」


蘭の目に、ふっと正気が戻った。


「ええ。そうです。蘭さまをこの世界にお連れした時から、あなたをお守りすることが私に定められた役目でした」


「そう、だね。役目だね……」


蘭はカイルに握られた手を離した。


「蘭さま?」


「カイル」


「はい」


「役目でもいい。いいから、わたし、カイルの傍にいさせてね。もう離れるのは嫌なの。カイルどうしてるんだろうとか、無事でいるんだろうとか、もう心配したくないの」


「……」


「だからね。傍にいさせてね」


「もちろんです。ずっと、一緒です」


「……」


「蘭さま?」


「カ、カイル。こんなこと言ったら、きっと驚くと思うけど」


「はい」


「わたしね。わたし、やっぱりカイルのことが、す……」


「す?」


「すすすす」


「すすす?」


「す」


「蘭さま!」


ノックもなく扉が開けられ、ニアスが飛び込んで来た。


『す』の形のまま固まる唇。


そして蘭は、がっくりと肩を落としたのだった。