「誰も、手をこまぬいている訳ではないのだな」
「ああ。時と人と。タイミングが合えば、いつでも動ける」
昔帝国で、皇帝を交えて三人、国の行く末について議論を交わしたことを、カイルはふと思い出した。
こうしてシドと話していれば、あの頃の日々と重なる。
しかし、それは錯覚でしかなく、ふたりの関係は決してあの頃と同じには戻らないことも、彼は知っていた。
「シド」
「ん?」
「思う所はあるだろうが、事が成るまでは胸に納めておこう。お互いにね」
「……ああ、そうだな。ヘラルドを倒すまでは、仕方ない」
そう。
ヘラルドを倒すまでは。
嫌でも、カイルとシドは手を組み続けなければならない。
でなくては、世界は崩壊の一途を辿るだろう。
そうさせてはならない。
絶対に。
シドはボトルの最後の一滴を、カイルのグラスに落とした。
並々と注がれた液体に、カイルが口を付けた形跡はない。
けれど、それをシドが気にしている様子はなかった。
「蘭の背負う運命も。出来ることなら、共有したい。あの子一人で背負うには重過ぎる運命だ」
「……」
「俺も、お前も。あの子を利用しようとしたが。だが今は、少しでもあの子の力になりたい。あの子の苦しみを、少しでも和らげたい」
少し酔ったのか、シドは普段人には言わないようなことも話している。
それをカイルは聞いているだけだが、しかし視線はシドを通り越し、向こうに座る蘭へと注がれていた。
「ああ。時と人と。タイミングが合えば、いつでも動ける」
昔帝国で、皇帝を交えて三人、国の行く末について議論を交わしたことを、カイルはふと思い出した。
こうしてシドと話していれば、あの頃の日々と重なる。
しかし、それは錯覚でしかなく、ふたりの関係は決してあの頃と同じには戻らないことも、彼は知っていた。
「シド」
「ん?」
「思う所はあるだろうが、事が成るまでは胸に納めておこう。お互いにね」
「……ああ、そうだな。ヘラルドを倒すまでは、仕方ない」
そう。
ヘラルドを倒すまでは。
嫌でも、カイルとシドは手を組み続けなければならない。
でなくては、世界は崩壊の一途を辿るだろう。
そうさせてはならない。
絶対に。
シドはボトルの最後の一滴を、カイルのグラスに落とした。
並々と注がれた液体に、カイルが口を付けた形跡はない。
けれど、それをシドが気にしている様子はなかった。
「蘭の背負う運命も。出来ることなら、共有したい。あの子一人で背負うには重過ぎる運命だ」
「……」
「俺も、お前も。あの子を利用しようとしたが。だが今は、少しでもあの子の力になりたい。あの子の苦しみを、少しでも和らげたい」
少し酔ったのか、シドは普段人には言わないようなことも話している。
それをカイルは聞いているだけだが、しかし視線はシドを通り越し、向こうに座る蘭へと注がれていた。


