久遠の絆

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食堂は宴もたけなわ。


めったに表に出てこないシャルティ秘蔵の美酒に、皆酔いしれていた。


そのシャルティを中心とするアトゥマ構成員の輪に、グレンとニアスが加わり、何やら異様な盛り上がりを見せている。


ちなみに、ニアスは未成年ということで、こちらはイーファン秘蔵の木苺ジュースなるものを嗜んでいた。


そんな賑やかな輪から離れた席で、カイルは久々のぶどう酒をちびりちびり舐めている。


様々な思いが浮かんでは消えていくが、どれもいっこうに定まらず、纏まらない。


こんなことは初めてだった。


いつも帝国と皇帝の為に働いてきて、思考も行動もすべてそこに因っていた。


なのに、その因って立つ所をなくしてしまったら、どうしたらいいのか分からなくなってしまったのだ。


自分の為になど、動いたことのない彼だったから。


グラス越しに彼女を見る。


マトとその妹と談笑している。


その屈託ない笑顔に、思わず釣られて微笑んだ。


(彼女が愛しい)


だが想いが募れば募るほど、彼はそれを伝えるべき言葉を見失ってしまうのだ。


諦めたように小さく息を吐き、与えられた部屋に戻ろうと腰を浮かしかけた。


すると、目の前にドンとボトルが置かれた。


立っていたのは、シドだった。


確か、食堂に行くのを拒んで、一人どこかへ行っていた筈だ。


何故今さら、しかもカイルの元へ来たのか。


先程通路で会った際も、お互い敢えて無視したと言うのに。


カイルは怪訝な顔でシドを見た。


そんなシドは、目の前に立ちながら、カイルとは視線を合わせようとしない。


しないまま、「飲むか」と言って椅子に腰掛け、グラスにドボドボと茶色い液体を注いだ。


そして、そのまま一気に飲み干した。


「お前、飲めたっけ?」


思わず、そう訊いていた。