◇◇◇
食堂は宴もたけなわ。
めったに表に出てこないシャルティ秘蔵の美酒に、皆酔いしれていた。
そのシャルティを中心とするアトゥマ構成員の輪に、グレンとニアスが加わり、何やら異様な盛り上がりを見せている。
ちなみに、ニアスは未成年ということで、こちらはイーファン秘蔵の木苺ジュースなるものを嗜んでいた。
そんな賑やかな輪から離れた席で、カイルは久々のぶどう酒をちびりちびり舐めている。
様々な思いが浮かんでは消えていくが、どれもいっこうに定まらず、纏まらない。
こんなことは初めてだった。
いつも帝国と皇帝の為に働いてきて、思考も行動もすべてそこに因っていた。
なのに、その因って立つ所をなくしてしまったら、どうしたらいいのか分からなくなってしまったのだ。
自分の為になど、動いたことのない彼だったから。
グラス越しに彼女を見る。
マトとその妹と談笑している。
その屈託ない笑顔に、思わず釣られて微笑んだ。
(彼女が愛しい)
だが想いが募れば募るほど、彼はそれを伝えるべき言葉を見失ってしまうのだ。
諦めたように小さく息を吐き、与えられた部屋に戻ろうと腰を浮かしかけた。
すると、目の前にドンとボトルが置かれた。
立っていたのは、シドだった。
確か、食堂に行くのを拒んで、一人どこかへ行っていた筈だ。
何故今さら、しかもカイルの元へ来たのか。
先程通路で会った際も、お互い敢えて無視したと言うのに。
カイルは怪訝な顔でシドを見た。
そんなシドは、目の前に立ちながら、カイルとは視線を合わせようとしない。
しないまま、「飲むか」と言って椅子に腰掛け、グラスにドボドボと茶色い液体を注いだ。
そして、そのまま一気に飲み干した。
「お前、飲めたっけ?」
思わず、そう訊いていた。
食堂は宴もたけなわ。
めったに表に出てこないシャルティ秘蔵の美酒に、皆酔いしれていた。
そのシャルティを中心とするアトゥマ構成員の輪に、グレンとニアスが加わり、何やら異様な盛り上がりを見せている。
ちなみに、ニアスは未成年ということで、こちらはイーファン秘蔵の木苺ジュースなるものを嗜んでいた。
そんな賑やかな輪から離れた席で、カイルは久々のぶどう酒をちびりちびり舐めている。
様々な思いが浮かんでは消えていくが、どれもいっこうに定まらず、纏まらない。
こんなことは初めてだった。
いつも帝国と皇帝の為に働いてきて、思考も行動もすべてそこに因っていた。
なのに、その因って立つ所をなくしてしまったら、どうしたらいいのか分からなくなってしまったのだ。
自分の為になど、動いたことのない彼だったから。
グラス越しに彼女を見る。
マトとその妹と談笑している。
その屈託ない笑顔に、思わず釣られて微笑んだ。
(彼女が愛しい)
だが想いが募れば募るほど、彼はそれを伝えるべき言葉を見失ってしまうのだ。
諦めたように小さく息を吐き、与えられた部屋に戻ろうと腰を浮かしかけた。
すると、目の前にドンとボトルが置かれた。
立っていたのは、シドだった。
確か、食堂に行くのを拒んで、一人どこかへ行っていた筈だ。
何故今さら、しかもカイルの元へ来たのか。
先程通路で会った際も、お互い敢えて無視したと言うのに。
カイルは怪訝な顔でシドを見た。
そんなシドは、目の前に立ちながら、カイルとは視線を合わせようとしない。
しないまま、「飲むか」と言って椅子に腰掛け、グラスにドボドボと茶色い液体を注いだ。
そして、そのまま一気に飲み干した。
「お前、飲めたっけ?」
思わず、そう訊いていた。


