このまま駆け寄り、あなたを抱くことが出来るなら
私はどんなにか、自分を褒めてやっただろうに
だが、そう出来ぬ、我が身がもどかしい……
カイルは伸ばし掛けた腕を、元に戻した。
「これから、こちらでお世話になります。蘭さまもいらっしゃったのですね」
努めて平静に。
しかし、その声音は、蘭には冷たく聞こえるものだった。
「うわっ。ほんとに蘭さまだ!」
カイルの脇から顔を出したニアスの声が、妙に明るく聞こえた。
「僕です。ニアスですよ。覚えてらっしゃいますか?!」
「う、うん。覚えてるよ。ニアス」
場違いなまでに明るい声に、蘭は救われたような気がした。
冷たく感じるカイルの態度が辛い。
会えた喜びを感じた後だけに、辛かった。
(カイルは、わたしに会えたこと、どうでもいいの?)
「こうして再会出来たわけだし、あっちで祝杯でも上げよっか」
「わあ、いいですね!宴ですね、う・た・げ」
シャルティがそう言い、ニアスも満面の笑顔でそれに応じる。
「じゃあ、早速」とばかりに、二人は意気投合した。
あらゆる問題をそっちのけである。
イーファンはシャルティにお任せと言った感じに傍観している。
肩を組んで部屋を出て行きそうなシャルティとニアスを、蘭は慌てて引き止めた。
「ちょ、ちょっと待って下さい。わたしは!」
「蘭さん。あちらでゆっくり話をして下さいね」
イーファンに言われれば、そうせざるを得ないように思えてしまう。
どうやらイーファンは、光の正体について教えるつもりはないらしい。
蘭はしぶしぶベッドを降りようとした。
そんな蘭に、すっと手が差し出された。
見上げると、カイルが立っていた。


