久遠の絆

「この砂漠で人探しは厳しいなあ」


シャルティは溜め息混じりに言った。


「厳しい、ですか?」


ニアスも眉を顰めた。


「ああ、厳しい。なんと言っても、この広さだ」


南の大陸の、南部半分を占める砂漠だった。


その広さの割りに、人口は少ない。


人伝に頼ると言うのも難しいことだった。


「ですが、そうでもないかも知れませんよ」


頭を抱えそうになるシャルティの隣で、イーファンが余裕ありげに言った。


「イーファン。知ってることがあれば、全部吐けよ。お前は知っていて、人の反応を楽しむ所があるからな」


「人を変人みたいに言わないで下さい。カイルさん。あなたの探している人が私の知っている人なら、案外簡単に見つかるかも知れませんよ」


「イーファンの知ってる人?誰だよ、それ」


カイル一行の視線も、イーファンに集中している。


「それは、“蘭”という人ではありませんか?」


カイルは瞠目した。


何故、目の前の人物からその名が出て来るのか。


「蘭?蘭さま?なんで、あなたが蘭さまのことを?」


ニアスも訳が分からないと言った様子だ。


「蘭は雪山で遭難していたのを、俺達が救助したんだ。それからずっと、ここにいる」


カイルとニアスは顔を見合わせた。


「では、蘭さまはどちらに?」


そう言ったカイルの声はかすれていた。


「ご案内しましょう」


イーファンが立ち上がった時だった。


壁を隔てた向こう側から、「キャッ」という悲鳴が聞こえて来たのだ。


「蘭だ」


すかさずシャルティが食堂を飛び出し、イーファンが後に続いた。


カイルも思うように動かない片足を懸命に動かして後を追った。


その表情は強張っていた。