久遠の絆

◇◇◇






「カイルさま。あれ」


傍らの少年が立ち止まり、前方を指差した。


その先を見たカイルは、岩山の前に武装した集団を見る。


「グレン中将」


「おう。ちょっくら行ってくらあ」


後ろを歩いていた熊、もとい、ゲルシュ・グレンは、意気揚々と武装集団に向かって行った。


もちろん両腕をしっかり上げ、攻撃するつもりのないことをアピールしている。


「大丈夫でしょうか」


「あの人の人当たりの良さは、ダンドラーク一(イチ)だろう?ニアス」


そう言って、カイルは不安げな少年を安心させるように微笑んだ。


ゲルシュ・グレンが一定の距離を保った所で立ち止まると、武装集団から一人の男が前に出て来た。


熊のようなグレンに引けを取らないくらい、背の高い男だった。


ふたりは幾つか言葉を交わすと、それぞれの仲間の方に手を振った。


「行こう」


カイルがニアスを促し、歩き始めた。


しかし、その歩みは速くはない。


そんなカイルを支えるように、ニアスもゆっくりと歩いて行った。


近付くにつれ、グレンといる男の容姿もはっきり見えてきた。


精悍な顔付き。


まさに砂漠の民といった雰囲気だ。


けれど、その目は優しく、涼やかだった。


「良さそうな人ですね」


ニアスがこそっと囁いた。


「ああ、そうだな」


第一印象で相手の人となりを評するのは危険なことだが、件の人物はそうすることが許されそうなくらいの、良い雰囲気の持ち主だった。


離れた所に控えている武装集団は、構えていた武器を下ろしたようだ。


互いに警戒を解いたということだ。


「お、よく歩いたな。こちらさんが一夜の宿を提供してくれるらしいぜ」


「それは、有り難い。身元も知れぬ者を受け入れて頂きありがとうございます」


「いやいや。困った時はお互い様だからさ」