久遠の絆

指令本部室では、将校たちが慌しく動き回っていた。


そこにカイルとゲルシュ・グレンが入って行くと、一人の高級士官がこちらに近付いて来て敬礼した。


「ハウレン少将」


(なぜここに熊が?)と訝るような顔をしながらも、ハウレン少将はカイルに向かって


「先程、第5師団と敵軍が交戦し、村のひとつが壊滅、占拠されたとの報告が入りました


「あ~あ、ったく。ハンス大将も詰めがあめえんだよな」


隣でぶちぶち言っている中将を残して、カイルは本部室の中央に据えられている円卓へと近付いていき、そこに映し出される立体映像に見入った。


南部の村のひとつに敵軍の印が付けられている。


その地域一帯は、帝国軍が要衝と位置づけている場所である。


そこから一直線上に首都があり、その間には山岳などの障害もなく、容易に首都攻撃を窺える場所となっていた。


「さて、どうしたものかな、元帥閣下」


ひとしきり愚痴を言い終えたゲルシュ・グレンが横に立った。


カイルは映像を見つめたまま動かない。


そこから情報を引き出すように、一心に見つめ続けている。


ゲルシュ・グレンはそれを見守るようにして佇んでいた。


「グレン中将」


ややしてカイルが固い声で呼んだ。


「はいよ」


「中将の師団をこの地域に移動するのに、どれくらいの時間が必要ですか?」


「え?ああ、そうだな、早くて2日」


「半日でどうにかなりませんか?」


「半日?!」


う~んと考え込む中将を尻目に、カイルは傍らに控えていたハウレン少将に次の指示を与えている。


「ま、なんとかなっかな」


と軽い調子で言って、手をパンと打ち合わせたかと思うと、


「じゃあ、俺早速帰るわ」


と言う言葉を残して、さっそうと本部室を出て行った。