久遠の絆

◇◇◇





「まさか、こんな所にいたとはね。ラン。思いもしなかった」


そう言って、マトは笑った。


屈託ない笑顔に癒される。


ジャングルで出会った時と同じだった。


彼は信じられる人。


何故か理由もなく、そう思える。


「わたしも。また会えるとは思ってなかったから。嬉しいな」


長年の友人のように、会ったら直ぐに打ち解けられる人はそうはいない。


それがマトの人徳なのか、まだ知り合って日は浅いというのに、蘭は気負わず話すことが出来た。


それは、この世界に来て初めてのことではないか。


カイルやシドと話すときには、ちゃんとしたことを言わなければと何処か身構えている部分があった。


いや、こちらの世界に来る以前から。


あちらの世界でも、親にでさえ、心を開いていなかったというのに。


生まれ育った環境か、生来のものなのか。


マトのような人は本当にいるのだと、蘭は少し羨ましくなるのだった。


けれど幾ら羨ましく思ったところで、それを蘭は手に入れることはできない。


そうなれたらいいと儚い望みを抱くだけだ。


「どうかした?」


我知らず暗い表情になっていたらしい。


マトは心配そうに蘭の顔を覗き込んだ。


「ううん。何でもない。それよりマト、妹がいたんだね」


「ああ、そうなんだ。双子のね、妹なんだ」


いつも以上に優しい眼をするマト。


妹であるマヤは、彼にとって本当に大切な存在なのだと分かる。


(マトはわたしに足りないものを全部持ってるんだ)


蘭はそう思った。


それはごくごく普通の事だ。


けれど、その“普通”が、蘭にはとても遠い。


自分の努力ではどうにもならない、決して手に入れられないものだった。