久遠の絆

「ギャッ」と叫んで、部隊長がうずくまった。


足首を押さえて悶えている。


シドはバッと上を見た。


艦橋の上の方に、銃を構えた兵士がいた。


狙いは明らかに部隊長。


「捨てるつもりか」


シドは吐き捨てるように呟いた。


人質に取られた部隊長を、助けようとするどころか、殺そうとするとは。


それは誰の指示に因るものか。


考えなくても、答えは簡単に出そうだった。


「シドさま。お早く!」


ランデルの声が飛ぶ。


今この時を逃せば、飛行艇を奪う機会を失するかもしれない。


シドもようやく艦橋の上部に注いでいた視線を外し、飛行艇に向かって走った。


しかし部隊長という人質がいなくなったことで、やはり兵たちの動きが慌ただしくなった。


こちらへ銃を向ける数人の兵士。


飛行艇のコックピットに取り付く兵士。


甲板上は混乱を極めた。


それに拍車を掛けたのが、この場に乱入してきた海賊だった。


甲板より下はあらかた制圧したのか、意気揚々と躍り込んで来た。


「まだ、いるぞー!」

「やっちまえ!」


呆気に取られる兵たち。


コックピットに乗り込もうとして飛行艇にぶら下がる兵士も、一瞬海賊に気を取られたようだ。


その脇腹に、シドが回し蹴りをお見舞いした。


呻き声と共に吹っ飛ぶ兵士。


それを横目に、シドはカイゼライトを見た。


「兄貴が乗れよ」


「何を仰って。お前から行け」


軍事訓練で一応乗り方くらいは知っているが、問題は戦闘艇は一人乗りだということだった。


「その通りですぞ、シドさま。あなたさまがまず行かれなくてどうします!」


喧騒の中、ランデルも声を張り上げた。


「集合は、南の砂漠。そこはまだヘラルドの目も届かないだろう」