久遠の絆

司令官室専用のエレベーターが上層階に到着した。


そこは艦橋の最下部。扉の向こうは甲板だった。


激しい物音がそちらから聞こえてくる。


海賊船対戦艦の戦闘はまだ続いているようだ。


ここまで僅かな時間で到達したものの、被害は少なからぬものがあるだろう。


だが海賊は、獲物を手に入れるまでは引かない。


この艦を落とすまでは、けしてこの海域を離れることはないと思われた。


その海賊たちがいいように艦内を撹乱し、兵たちを分散してくれているようだった。


扉が開く。


だがそこには、思いの外多くの兵がひしめいていた。


「部隊長!」


兵が駆け寄って来ようとする。


だが部隊長の首に短剣が突き付けられているのを見て、急停止した。


固唾を飲む兵たちの間を、シドたちは平然と歩いて行く。


戦闘艇の動力が生きている音がする。


空からの攻撃を加えようとしていたのか。


援軍を求めるために飛び立とうとしていたのか。


いずれにせよ、動く準備が出来ているのは好都合だった。


部隊長を人質に取られ、手も足も出ない兵たち。


このまま血が流れることなく離脱出来れば……。


3人の思いは同じだった。


平然と歩いていながら、シドは周りに目を配り続けている。


兵たちの動き、戦闘の状況。


この海域における、すべての変化を見逃すことのないように。


あと少しで飛行挺という所だった。


目の端で、何かがキラッと光った。


迷うことなくシドは動いた。


同時に「カイゼライトさま!」というランデルの声。


そのままランデルはカイゼライトを抱き抱えて横に飛び、シドは部隊長を突き飛ばす。


パシュッという音が聞こえた。


すべて一瞬の間の出来事だった。