久遠の絆

カイルは城を出たその足で本営へと向かった。


軍指令本部は、皇城から少し離れた場所にある、そこまでは車での移動となる。


車窓から見る戦時中の首都は、どこか閑散として見える。


平時に比べ、車通りは少なく、行き交う人の表情も曇って見えた。


今年に入って年中行事である国を挙げての祭りも中止され、ますます賑やかさが失われつつあるようだった。


「早く終わらせなければ……」


車はゆっくりと、石造りの本部へと入って行った。


その車止まりで、彼の到着を心待ちにしている者がいた。


その姿は遠くからでもよく分かる程の巨漢で、まるで熊を思わせる。


無精髭を生やし、とても異性受けするとは思えない風貌の彼は、しかし同姓にはすこぶる人気が高かった。



齢25。


カイルよりも3つ年上なだけの彼は、その姿から10は上に見られるが、彼自身はまったく気にしていないらしい。


指摘されれば「これが俺のスタイルだし!」とかえって胸を張るという、愛すべき人物ではあった。


中将である彼は一個師団を指揮しており、今現在は前線にいるはずだった。


それがどうしてここにいるのか。


カイルは車が止まるとすぐに自らドアを開け飛び降りると、彼の元へ足早に近付いた。


「中将、何か変わったことでも?」


足早に近づいてくる年下の若き元帥に、熊の中将は微笑みかけた。


そして「グハハハ」と笑いながら片腕を伸ばし、ぐわしっとカイルの肩を抱いたのだ。


「ちゅ、中将?」


熊の中将の難点は、スキンシップが濃厚なところ。


勢いあまって首を絞められ、卒倒寸前に陥った将校もいるらしい。


「グレン中将!お手を離してください!」


カイルも常日頃から鍛錬してはいるものの、いかんせん体格に差がありすぎた。