久遠の絆

シド、カイゼライト、ランデルは甲板へ出た。


火が見えた。


海賊船は船体を鉄の装甲で覆ってはいるが、少なからぬダメージを負っていた。


小回りを利かせて、戦艦の砲弾を9割方は回避しているものの、この場からの離脱は急いだ方が良かった。


戦艦の被害も相当のもののようだった。


海賊船からの砲弾はかなりの確立で被弾。


甲板上の砲台は悉く破壊された。


戦艦は至近距離の戦闘には向かないというのも、戦艦側の被害を増大させる要因になっていると思われた。


本来は遠距離、もしくは対空戦向きなのだ。


これが駆逐艦クラスの船であったら、海賊船はもっと不利であったに違いない。







戦艦の船腹に開いた穴に、次々とロープが掛けられていく。


海賊が投げた、鉤付きのロープ。


砲口が顔を出す穴の隙間にガチッと止まり、そのロープを伝って、海賊たちが戦艦へと渡っていった。


「海賊はこれからもあんたの味方だぜ!シド・フォーン!」


ロープに手を掛けたシドに、船長の声が飛んだ。


その声に応えるように、シドは片手を上げた。


ランデルがまずロープに取り付き、するすると登って行く。


カイゼライトは細身の短剣を口に銜え、次に続いた。


そしてシドも、海賊たちに混じりながらロープを伝って戦艦の中に消えていった。



「無事でいろよ、シド・フォーン……」



この機に乗じて戦艦を我が物にしようと決めた船長は、人知れず、信じてもいない神に祈るのだった。