久遠の絆

「シド、無茶はよせ」


窘めたのは、やはりカイゼライトだった。


だがシドは「いや、やる」と強い意志を露わにした。


「勝算があるのか?」


カイゼライトが懸念を感じるのももっともだった。


「勝算はどうかな。だが、やる前からそんな不確かなことを考えていても仕方ない。これ以上船長に世話を掛ける訳にもいかんだろう」


「俺は構わんぜ。あんたを南に送るってのが、今回の仕事なんだからな」


「だが、すでにマストをやられている。船がこれ以上壊れたら困るだろう?」


船がなくなれば、海賊はできない。死活問題だ。


シドは操舵室に集まる人々の顔をぐるりと見渡した。


その間も、対艦砲の応酬は続いている。


船が大きく揺れる中、皆の視線がシドに集中していた。


「相手の戦力が如何ほどのものかは分からんが、乗員は一部隊ほどのものだろう。艦隊でなかったのが、せめてもの救いだ。戦艦は空母形式で、甲板に飛行艇を擁している。カイゼライトとランデルは、俺と戦艦に侵入。後、飛行艇を奪取する。船長は引き続き、舷側砲で相手の攻撃を引き付けておいてくれ」


総帥であった頃のカリスマそのままに、次々指示を出していくシド。


海賊の船長ですら、そんな彼に魅了されていく。


そして。


「了解した」という言葉と共に、船長は手下たちに指示を出し始めた。


シドはカイゼライトとランデルを見た。


「行けるか?」


「もちろん」


「そのために、こうして付いて参ったのですぞ」


シドは視線を外した。


「犠牲は少なくていい。これ以上の死は……」


「シド。罪を償うのは全てが終わってからだ。まずは、あの子の所へ行かなくては。それまでは、どんなことがあっても、私もランデルも決して死なない」


必ず、生きて、あの少女の元へ。


世界が救われる様を見届けるまでは。


死ねない。