◇◇◇
荒れた海を越えるうちに、夜が明けた。
甲板に立ち、シドは東から上る朝日を眺めている。
波に遊ばれる船を物ともせず、涼しい顔で風に外套をはためかせていた。
南の大陸まであと僅か。
その目は上る陽を追っているようで、その実まだ見えぬ陸地を捕らえているのかもしれなかった。
ヘラルドのクーデターにより自身の夢は奪われ、進むべき未来をも失った彼は、しかし一人の少女に再会するという新たな目標を得たことで、もう一度生きる希望を取り戻すことが出来た。
過酷な運命を背負う少女を。
我が手で守りたい。
彼女の心を得る得ないは別として、彼女の傍らにありたいと願う、シドだった。
星は数を減らしていき、空に光が満ちていく。
朝凪だろうか。
波は幾分治まってきたようだった。
その場を離れ、船室へ戻ろうとすると、船長が立っていた。
いつから、そこにいたのか。
気付かなかった自分をシドは責めた。
背後を取られるなど、以前の自分にはなかったことだ。
(どこかに気の緩みがあるのか?)
自問し、気を再度引き締め直す。
そんなシドを見て、船長はにやりと笑った。
「あんた、漆黒の総帥だろ?」
「……ああ、そうだ」
この船長には隠しても、結局ばれるだろうと思う。
「ふん。行方知れずだって聞いてたが、まさか自分の船に乗せることになるとはな」
船長は言いながら、煙管に火を付けた。
ぷか~と煙を吐き出しながら、すっかり明けた朝の空を見上げる。
荒れた海を越えるうちに、夜が明けた。
甲板に立ち、シドは東から上る朝日を眺めている。
波に遊ばれる船を物ともせず、涼しい顔で風に外套をはためかせていた。
南の大陸まであと僅か。
その目は上る陽を追っているようで、その実まだ見えぬ陸地を捕らえているのかもしれなかった。
ヘラルドのクーデターにより自身の夢は奪われ、進むべき未来をも失った彼は、しかし一人の少女に再会するという新たな目標を得たことで、もう一度生きる希望を取り戻すことが出来た。
過酷な運命を背負う少女を。
我が手で守りたい。
彼女の心を得る得ないは別として、彼女の傍らにありたいと願う、シドだった。
星は数を減らしていき、空に光が満ちていく。
朝凪だろうか。
波は幾分治まってきたようだった。
その場を離れ、船室へ戻ろうとすると、船長が立っていた。
いつから、そこにいたのか。
気付かなかった自分をシドは責めた。
背後を取られるなど、以前の自分にはなかったことだ。
(どこかに気の緩みがあるのか?)
自問し、気を再度引き締め直す。
そんなシドを見て、船長はにやりと笑った。
「あんた、漆黒の総帥だろ?」
「……ああ、そうだ」
この船長には隠しても、結局ばれるだろうと思う。
「ふん。行方知れずだって聞いてたが、まさか自分の船に乗せることになるとはな」
船長は言いながら、煙管に火を付けた。
ぷか~と煙を吐き出しながら、すっかり明けた朝の空を見上げる。


