久遠の絆

「なんでだ?」


「何となくだけど……」


「ふうん?」


「……兄さん!」


マヤは急にマトの前に飛び出した。


「うわっ。何だよ、マヤ。危ないなあ」


「兄さん。まかり間違っても、ランて子、好きになったりしちゃダメなんだからね!」


マトは唖然とした。


どういう話の流れから、そういうことになるのか。


「あのねえ、マヤ」


「ううん。わたしの不安て、良く当たるんだよ。知ってるよね?」


「お前の勘が鋭いのは知ってる。けど、まだ起こってもないことなのに不安がるなんて、おかしいよ。さ、先を急ごう」


マトはマヤの肩をポンと叩くと、再び歩き始めた。


マヤはそんな兄の背に呟く。


「わたしは兄さんよりも兄さんのこと、知ってるんだから」


後にマトはこの時のことを思い出し、妹の勘の侮れないことを再確認することになるのだが、それはまだ先の話である。







蜃気楼ではない。


本物の岩山が近付いて来る。


街道にもゴツゴツとした岩が目立ち始めた。


緑の光は、真っ直ぐに岩山を貫いているようだった。


「いったい、どこに向かってるんだ、この光は?」


この岩山を回り込むのは、山脈を越えることより苦労しそうだった。


「マヤ、行けるか?」


「もちろん。わたしはマトに付いて行くって決めてるんだから」


「そっか。そうだったな」


兄妹は互いの意志を確認するように見つめ合った。


そして街道を外れ、岩山へと向かったのだった。