久遠の絆

「いずれゆっくりとお時間を取らせていただきます。その時は殿下が嫌になるくらい一緒にいさせてくださいね」


「まあ」


「お前も言うようになったな」


妙なところに感心している二人を残し、カイルは部屋を出て行った。






「早々にお前たちの婚約の儀を執り行うよ」


残された二人の間の沈黙を破るように、兄が言った。


「…………」


「アニーシャ?」


「お兄さまも、カイルも、わたくしを子ども扱いなさるんだから」


「子供なのだから仕方ない」


溜息混じりに言った兄をひと睨みしてから、少し寂しげな表情になった。


「どうかしたか?」


アニーシャはサイドテーブルに載せられている果物をつつきながら、


「カイルなら、好きになれると思うのよ」


とまるで目の前のりんごに言い聞かせるように呟いたのだ。


「…………。カイルはいい奴だ。私が保証する」


兄の言葉に、アニーシャは激しく振り向いた。


「それは兄さまにとってでしょう?わたくしは彼のことをまったく知らないわ。彼が好きな食べ物も、彼が好きな書物も、彼が神経質なのか、どんな癖を持っているのか、そんなことまったく知らないのよ!
知っているのは、彼がアルファラ公爵家の嫡男で、元帥だということだけだわっ!!」


少女の不安な気持ちが一気にほとばしり出た。


それは皇帝の胸を激しく打ち、彼は思わず妹を抱きしめていた。


「兄さま?!」


「アニーシャ……今の帝国は、かつての帝国ではない。行く末の知れぬ所にいる。存続か、破滅か……。
破滅となれば、我々皇族に残される選択肢は、“死”のみだ」


腕の中でアニーシャが息を飲むのを感じた。