久遠の絆

その頃カイゼライトは、時計を気にしながら待っていた。


汽笛の響く港。


空が主要な交通手段になった現在も、船を利用する者は多い。


漁師や昔ながらの方法を尊ぶ頑固者など。


そして裏の世界の住人がそうであった。


政府は空に多くの監視の眼を向けている。


それは軍事的に空を飛ぶ艦船が主であるからだが、その分海には隙が生まれた。


その隙を突いて、暗躍する者たちがいるのだ。


今回手配した船も、そのような者を通じて用意された。


話をつけたのはランデルだ。


どう言ったコネで、そのような人物と交渉したのかは知らない。


ランデル自身が裏の世界の住人なのか。


ここに来て、カイゼライトはランデルのことを何一つ知らないのだと思い至った。


物心付いた時から、自分を守る存在として側にあったのに。


(私はランデルがどんな人間なのか、興味を持ったことなどなかったな……)


返すがえすも自分自身のことばかりだったと、カイゼライトは思うのだった。






ランデルが交渉した人物の指定した時間が過ぎようとしている。


船の出港まで、あと僅か。


この機会を逃せば、渡航のチャンスはもうないかもしれない。


手配されてしまえば終わりなのだ。


(だから、早く来い。シド!)


カイゼライトの焦りを余所に、時間だけが過ぎていった。