久遠の絆

外套を脱ぎ捨て身軽になったシドは、一歩老人に近付いた。


老人は思わず「ひっ」と叫んで後ずさる。


「じいさん。ヘラルドに伝えてくれよ。また会おうってな」


「な、何をっ」


老人の動揺が極まったところで、シドは一気に間合いを詰め、老人の片腕を取り、それを捻りながら背後へと回り込んだ。


そして、いつの間に取り出したのか、小さな護身用の銃を老人のこめかみに当てたのだ。


あっという間の出来事に、唖然とする兵士たち。


「さてさて、これであんたの信頼度が分かるわけだ。あんたの命を犠牲にしても、俺を仕留めようという奴がこの中に何人いるかな?」


「わ、儂を盾にするなっ!」


「おや、自信がないのか?自分は部下に信頼されてませんて?」


「う、うるさい!」


「たく、どんな奴が来るのかと楽しみにしてたのに、あんたみたいなんだったとはね」


「き、貴様!まさか儂のことを気付いていたのか?」


「シド・フォーンのことをあれだけ大声で聞いて回ってたら、普通気付くって」


老人を茶化すような会話をしながら、シドはじりじりと入口へと向かった。


羽交い締めにされた老人はなんとか逃れようともがくが、細身なシドはしかしびくともしなかった。


シドに言わせば、「鍛え方が違う」ということになるだろう。


兵士たちは、シドに照準を合わせたまま撃てないでいることに、じりじりしているようだ。


何かのきっかけがあれば、恐らく老人もろとも穴だらけだ。


脱出は早い方がいい。


兵士たちにざっと目を走らせながら、シドは扉の前に立った。


幸い扉は開いたままだ。


そして老人をドンと前に突き飛ばし、自身は扉の向こうへ飛んだ。


瞬間銃弾が乱れ飛ぶ。