久遠の絆

「つまりは、私のせい、なのだな」


それに対し、グレアムは否定も肯定もしなかった。


しかしその沈黙こそが、カイゼライトの責任だと突き付けているように感じられた。


「それで、お前がお世話を?」


「特例だと言われました。私の妻と、お世話をさせて頂いております」


「そうか……」


「お戻り頂けますのか?」


「戻る?」


「はい。このような時に姿を現されたのですから、お戻り頂けるのでしょう?」


グレアムは主が欲しいのだ。


カイゼライトはそう悟った。


カイゼライトを責めながらも戻れと言うのは、彼が執事だからだ。


主人あっての、執事なのだから。


主人の命を忠実に遂行し、家を守る。


それが執事の仕事であるというのに、今のグレアムは実際この屋敷の主人だった。


主人たるべき母がこれでは、どうしようもない。


カイゼライトにはよく分かる。


かつては、この家の次期当主としての教育を受けていたのだから。


だが。


「私はまだ戻るわけにはいかないんだ」


「奥様を見捨てると?」


「分を逸した発言だな、グレアム」


「はい。それを承知で、申し上げております」


余程腹に据えかねているのだ、グレアムは。


カイゼライトはそのことが分かり、苦笑した。


「すまないが、どう言われようと、私は今戻るわけにはいかないんだ。シドを見つけるまではね」


「シド!」


グレアムは憎々しげに言い放った。


「名門エルブライト家の恥さらしの方が、お母上よりも大事だと仰るのですか?」


「控えよ、グレアム」