久遠の絆

そうして、カイゼライトは歩き始めた。


目指したのは、生家。


数年ぶりに帰る。


だが、そこにいる筈の両親がいるのかは知らない。


あるいは既に、同盟軍に捕らえられている可能性がある。


いや、その可能性のほうが高い。


皇帝以下、政に携わっていた貴族たちは処刑されたと聞く。


名門であるエルブライト家の主たる父が、一人だけ見逃されるはずはないのだ。


それに加え、シド・フォーンの父でもあるのだ。


ヘラルドが、自ら追い落とした者の家族を、そのままにしておくことなどありえない。


カイゼライトは一縷の希望も抱くことなく、生家を目指した。


昔も今も、変わらぬ外観。


何の装飾もなく、素っ気ない印象を与える屋敷は、当主の性質そのままを移しているようだった。


厳格で、表情に乏しかった父。


けれどシドにはそうではなかったと思う。


愛する人の子だから。


庶子ではあっても、カイゼライト自身に掛けられる愛情とは違っていた。


しかも彼には才と実力があった。


自分にはない、天才的な。


それも父には誇らしかったのだろうと。


嫉妬し、そしてついには見て見ぬ振りをした。


今になって思えば、なんと若く浅はかだったのだろう。


だが、それを悔いている時ではない。


一人戦う少女のために、やらなければならないことはたくさんある。


錆び付いた門が軋みながら開いた。






使用人もいなくなったのか。


この家は。