◇◇◇
ダンドラークの主都。
主が交代して久しい都は、以前とは随分雰囲気が変わっていた。
整備された道路には、装甲車が行き交う。
貴族達がそぞろ歩き、庶民が憩いの場として親しんでいた公園は、同盟軍の駐屯地となっていた。
その姿を木陰に隠れるようにして見る、一人の男。
カイゼライトだった。
ガルーダの公邸で命の危険を感じ、先んじて脱出したのち、各地を点々としていたが、思うところがあって、ついに故郷の土を踏んだのだ。
良い時代の帝国を知る彼は、人知れず胸を痛めた。
貴族のほとんどが粛清の対象になっていると聞く。
果して、父は母は、かつての友たちは無事でいるのだろうか。
自ら捨てたものではあったけれど。
弟のように、憎んだからではない。
弟、すなわちシドは、侵略した故郷でクーデターにあい、今や行方不明だ。
生死も定かでない弟を、彼はずっと探し続けている。
「カイゼライトさま」
呼ばれ振り向くと、別の木の後ろから、小柄な老人が出て来た。
「ランデルか」
「はい」
「よく分かったな」
「カイゼライトさまのことでしたら、何でも」
「ふ……相変わらず」
「坊ちゃまが帝国をお出になられたあとも、このランデルは坊ちゃまの忠実な僕でありましたからな」
「坊ちゃまと呼ぶな」
「ククク……さてさて、何をお命じ下さいます?」
「分かりきったことを。シドだ。探せ」
「すでに当たりは付けてございます。一日頂ければ良いかと」
カイゼライトは「行け」と言うように、片手を振った。
直後、ランデルの姿は煙のように消えてしまった。
「当たりを付けている、か。相変わらず、喰えん奴だ」
ダンドラークの主都。
主が交代して久しい都は、以前とは随分雰囲気が変わっていた。
整備された道路には、装甲車が行き交う。
貴族達がそぞろ歩き、庶民が憩いの場として親しんでいた公園は、同盟軍の駐屯地となっていた。
その姿を木陰に隠れるようにして見る、一人の男。
カイゼライトだった。
ガルーダの公邸で命の危険を感じ、先んじて脱出したのち、各地を点々としていたが、思うところがあって、ついに故郷の土を踏んだのだ。
良い時代の帝国を知る彼は、人知れず胸を痛めた。
貴族のほとんどが粛清の対象になっていると聞く。
果して、父は母は、かつての友たちは無事でいるのだろうか。
自ら捨てたものではあったけれど。
弟のように、憎んだからではない。
弟、すなわちシドは、侵略した故郷でクーデターにあい、今や行方不明だ。
生死も定かでない弟を、彼はずっと探し続けている。
「カイゼライトさま」
呼ばれ振り向くと、別の木の後ろから、小柄な老人が出て来た。
「ランデルか」
「はい」
「よく分かったな」
「カイゼライトさまのことでしたら、何でも」
「ふ……相変わらず」
「坊ちゃまが帝国をお出になられたあとも、このランデルは坊ちゃまの忠実な僕でありましたからな」
「坊ちゃまと呼ぶな」
「ククク……さてさて、何をお命じ下さいます?」
「分かりきったことを。シドだ。探せ」
「すでに当たりは付けてございます。一日頂ければ良いかと」
カイゼライトは「行け」と言うように、片手を振った。
直後、ランデルの姿は煙のように消えてしまった。
「当たりを付けている、か。相変わらず、喰えん奴だ」


