久遠の絆

「とは言っても……」


どこから探せばいいのか。


ナイルターシャから預かった指輪は、まだうんともすんとも言わない。


「とりあえず、リリカの言った山脈へ行ってみるしかないか」


ガルーダの旧都の、繁華街に程近い場所。


宿に戻ったマトとマヤの兄妹は、旅立つための荷造りをしながら頭を悩ませていた。


ここへ戻ってくる途中にあった市場で、必要な食料などを買い足してきたのだ。


「兄さん、そのランて子。なんなわけ?」


ナイルターシャの指輪を目の高さに持って、まじまじと見ているマトに、とりあえず聞いておこうと、マヤは尋ねた。


「う~ん、話せば長くなるんだけどな……」


「いいよ。教えてよ。訳も分からず探すのも嫌だしさ」


マトは指輪から目を離して、妹を見た。


「そうだな。お前も知っておいたほうがいいよな」


そうしてマトは、ナイルターシャから彼にだけと聞かされていた、瑠璃の巫女にまつわる話を妹に教えたのだった。


マヤは世界が崩壊に向かっていると聞いても、いまいちピンときていない様子だったが、
「ランて子、大変なんだね」と同じ世代として同情したらしい。


「うん。だから。世界を救おうとしている人を、見捨ててはおけないだろ?」


「そうね」


マトは思う。


一度だけ会ったラン。


自らが瑠璃の指輪を手渡した、ラン。


華奢な彼女の双肩に、そんな重たい運命が圧し掛かっているとはと、一人胸を痛めていた。


しかし今度は、違う。


彼女が見つかれば、今度こそ傍にいて、彼女を助よう。


彼女の負担が少しでも軽くなるように。


彼女を支えよう。


マトはそう決心していた。






荷造りを済ませると、兄妹はすぐに宿を出た。


白亜の屋敷を遠目に見ながら、街をあとにする。


目指すは南にある山脈だった。