久遠の絆

「いつも一所懸命な蘭さまが、わたしは好きです。その方が大事に思われていたナイルターシャさまですもの。無下に扱えるわけがありません」


それが彼女の真意であると、何故かマトには分かってしまった。


確かに、今までナイルターシャを世話していたのは、彼女なのだ。


「マヤ、行こう」


「兄さん?!」


「ばばさまをこの人に任せて、俺たちは蘭のところへ」


「でも!」


「リリカさん、お願いします」


「お任せを」


マトはナイルターシャを見た。


「ばばさま、蘭が見つかったら、必ず迎えに来るから」


ナイルターシャはゆっくりと頷き、指輪をマトに握らせた。


「やはり、持ってお行き。お願いだよ」


マトはその指輪をしばらく見つめていたが、意を決したようにぎゅっと握り締めると、ナイルターシャに背を向けた。


マヤはまだ不満そうにしていたが、それ以上の不満をぶつけることはなく、大人しくあとに従った。


けれど、「裏切ったら、酷いからね」と、リリカに念押しすることは忘れなかったが。


二人が出て行こうとすると、リリカが声を掛けた。


「山脈へ。ヘラルドはそこへ、蘭さまを連れて行きました」








マトとマヤは再び小さな窓から外に出た。


森の小道を元来た方に戻りながら、ぐいっと目元を拭ったマト。


はっとして、マヤは兄の背中に手を添える。


「兄さん……」


彼が辛くないはずはないのだと、その時気付かされた。


村で一番ナイルターシャを慕っていたのは、彼なのだから。


それでも、ナイルターシャを置いていくと決断したのだから、余程のことがあるのだろう。


まだ詳しく聞いたわけではないが。


マヤは、どこまでも兄に付いて行くと、決めていた。