久遠の絆

「マト。マヤも連れて行っておやり」


「え?」


「私は一人で大丈夫。マヤにも、世界を見せておやり。そして、一人で戦うあの子を助けてあげて」


「ばばさま……」


その時部屋の扉が静かに開けられた。


地下道に続く、あの扉だ。


マトとマヤは、はっとして振り向いた。


そこには一人の女性が。


険しい顔で、ふたりを見ている。


そして、手には護身用の短銃。


マトはさっと前に出て、ナイルターシャとマヤを背にして、ダガーナイフを構えた。


「リリカ、かい?」


ナイルターシャが声を掛ける。


その声を聞いて、彼女はふっと息を吐いた。


「ご安心を。危害を加えるつもりはありません」


そう言って、スカートの裾をめくり、短銃を太腿に付けたホルスターにしまった。


「ナイルターシャさまをお守りするのがわたしの役目ですから。そちらに殺意がないなら、わたしも攻撃致しません」


「ナイルターシャを守る?」


「蘭さまがいなくなられてしまった後、シドさまに直々に命じられました」


「……」


「あの子は、ヘラルドに酷い目に合わされたのよ。私はそれを止めることも出来なかった。私は、いつも、そう」


マヤはナイルターシャの瞼を閉じた目尻から、涙が一筋流れ落ちるのを見た。


「ばばさま……」


「そのシドさまもクーデターに合われ、行方が分からなくなっておりますが、わたしの任務は解かれるまで続きますので」


信用してよい人物なのか。


マトは、リリカを見据えた。


そんなマトに、リリカは浅い笑みを浮かべ、「わたしは蘭さまが好きです」と言ったのだ。