久遠の絆

調度も何もない部屋に、一つだけ置かれたベッド。


そこに敷かれた薄っぺらい布団に横たわる、老婆の姿だった。


男はくっと息を飲んだが、無言のまま飛び降り、ベッドの傍に立った。


心なしか、痩せて見える老婆の顔。


「ばばさま!」


続いて入ってきた女は、涙声になりながら駆け寄った。


「ひどい!わたしたちのばばさまを、こんな目に遭わせて!」


「マヤかい?それに、マトもいるね」


か細い声がした。


「ばばさま。マヤだよっ」


掛け物の下から、皮だけのような細い腕が伸び、女の頭をよしよしと撫でた。


「何故、ここに?」


「何故って、ばばさまを助けに来たに決まってるじゃないか!」


「……ジャングルから、わざわざ?」


「そうだよ。大切なばばさまを、捕らえられたままになんかできないさ」


そう、この二人は。


同盟軍に襲撃された村で、ナイルターシャと共にあった、マトとマヤの兄妹だったのだ。


ニアスに伴われ、カイルに報告したのち、ナイルターシャを救うべく海を渡った。


ガルーダにてずっと情報収集をしていたが、ある人物に、ナイルターシャと思われる老婆がここに軟禁されているのを聞き、忍び込む機会を窺っていたのだった。


「ああ、やっと会えた。ばばさま」


マヤは泣いていた。


「わたしたちと一緒にジャングルに帰ろう」


だが、ナイルターシャは首を横に振った。


「ばばさま?!」


「マヤ。私はここで朽ち果ててもいいと思っているのだよ」


「え?なんで?なんで、そんなこと!」


言い募るマヤの肩を、マトが押さえた。