久遠の絆

シャルティは組織の構成員を集めると、密偵の増量と元帝国元帥の捜索を命じた。


しかし、ダンドラークの地は遠く、情報がもたらされるのは、いつになるか分からない。


傍受されやすい無線などは使えないのが、辛いところだった。


任務を受けた若者達が、それぞれの目的地を目指して散って行った。


「さあ、次は俺達だ」


閑散とした部屋で、シャルティはイーファンに言った。


「俺は来るべき時に備えて武器庫に篭るが、お前はどうする?」


「私は蘭さんと、まだお話しなければならないことが」


「そっか。じゃあな」


軽く手を振り、シャルティが武器庫へと続く扉に姿を消すと、イーファンも別の扉に足を向けた。


その扉の向こうには短い廊下があり、イーファンやシャルティたちの居室のある空間となっている。


そこに蘭の部屋もあった。


ほとほととノックすると、くぐもった声で返事が返ってきた。


あまり調子の良くなさそうな……。


イーファンは小さく溜め息をついて、ゆっくり扉を開くと、中は明かりが消され、真っ暗だった。


「明かりを点けたらどうです?」


返事はない。


「点けますよ」


ランプの明かりが灯る。


照らし出されたのは、じっと壁を見つめている蘭の姿だった。


「蘭さん?」


「こうしていれば、あいつが出てくるんじゃないかと思ったの」


「……」


「不意打ちをくらったら、あいつの思うままだけど、待ってて出て来るなら、対処のしようがあるでしょ?」


「それで、出て来ましたか?」


蘭は壁を見たまま、頭(かぶり)を振った。


「待ってたら、出て来ないのかな……」