久遠の絆

「カイル・アルファラ……」


イーファンとシャルティは顔を見合わせた。


その人物もまた、行方不明になっていると聞いている。


皇帝と皇女以下、すべての貴族が粛清の対象となる中、前線にいた貴族出身の上級仕官は皆忽然と姿を消していた。


上級仕官だけではなく、下士官もすべてだ。


元帝国元帥と蘭がどのような関係にあったのかは、イーファンとシャルティには分からない。


だが、これ程に動揺している彼女に、カイルが行方不明だと告げてもいいのか迷った。


「何故、元帥のことを?」


問うたが、蘭は俯いたままだ。


「蘭さん。我々の密偵の報告によれば、前線にいた兵はすべて、行方が分からなくなっているようなのです。当時、元帥の旗艦がその場にあったようですから、恐らくカイル・アルファラも前線にいたのでしょう」


「前線に……?」


「はい」


「カイルの行方も分からないと言うことなの?」


「……」


無言の肯定。


「どうして……」


生死はおろか、今どこにいるのかすら分からないとは。


「蘭さん。今も密偵が旧帝国や同盟に入り込んで諜報活動を続けています。いずれ、報告がもたらされる筈。今は不明だと言うだけなのですから、どうぞ心を強く持って下さい」


そうイーファンに励まされれば、頷くよりなかった。


「当面はこちらから動くことは出来んな」


シャルティが腕組みをしながら、そう言った。


「ヘラルドに見つかるわけには、いかないだろう?」


イーファンもそれに頷いた。